東京, 2024年5月28日 - (JCN Newswire) - 当社はIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想(注1)の実現に向けて、既存光ネットワークの信頼度を容易にアップグレードできるディスアグリゲーション型(注2)光伝送ソリューション「FUJITSU Network 1FINITY T250」(以下、「1FINITY T250」)を開発し、2024年5月14日より提供開始しました。本ソリューションは遠隔医療やリモートコンストラクション等の新たなユースケースのための、通信事業者やメディア配信事業者の新たなコネクティビティサービス創出を可能とするものです。
「1FINITY T250」は、大容量伝送でありながら低遅延かつ低消費電力を実現するエンドツーエンドの光ネットワーク「オールフォトニクス・ネットワーク(以下、APN)」(注3)を実現するソリューションであり、遅延を制御する定量遅延技術と、光伝送装置のノード間をつなぐパス(注4)を無瞬断で切り替え可能な技術を搭載しています。
「1FINITY T250」を用いて冗長回線を構成することで、自然災害による回線障害や、予測が難しい偶発的な機器故障のリスク、また、道路工事などの外的要因による既存設備の移設作業に対しても、回線障害をもたらすことなく、自動で安定的な回線切り替えを行うことができ、APNによるサービスを、より安心・安全に提供することが可能となります。
当社は、「1FINITY T250」の提供を通じて、高信頼性と低遅延が求められる送電線などのインフラ監視や遠隔医療・リモートロボティクスなどの分野における光ネットワークの構築および社会実装を支援し、すべての人が高品質なサービスを享受できるIOWN構想に基づく高信頼APNの実現に向けて貢献していきます。
背景
IOWN構想の実現に向けて、現在APNによる光伝送を活用した様々なユースケースの検討が進められていますが、例えば送電線などの架空地線を活用した光伝送(OPGW)(注5)は、経済性や保守点検の作業性に優れる一方で、落雷、電磁干渉といった外部環境変化による信号エラーのリスクを伴います。さらに、通常の光ファイバー網においても、遠隔医療におけるマニピュレーション(注6)や、送電システムの監視網などの光ファイバー網においては、常時、強固な高信頼性と低遅延が求められており、ネットワーク機器の偶発的な故障は、サービスに多大な影響を及ぼす可能性があります。
当社は、こうした課題を解決するため、独自テクノロジーであるネットワークの遅延や揺らぎを可視化し制御する定量遅延技術および無瞬断で光伝送装置のノード間をつなぐパスを切り替える技術を搭載した光伝送ソリューション「1FINITY T250」の開発を進めてきました。
ディスアグリゲーション型光伝送ソリューション「FUJITSU Network 1FINITY T250」の概要
1. 定量遅延技術により、障害時でも高品質なネットワーク回線を維持
「1FINITY T250」は、光伝送装置のノード間をつなぐパスごとの遅延を測定し、パスごとの遅延差がゼロになるように遅延量を制御することでネットワーク全体のレイテンシ(応答時間)を揃えることで、離れた拠点間でのリモートコンサート、ゲーム対戦といったユースケースにおける地理的要因によって発生する時間ズレの解消、公平性を担保が可能です。
この定量遅延技術を応用することで、例えば、回線障害が発生した際にバックアップ回線に瞬時に切り替えることで、回線の瞬断を防止し、高品質なネットワーク回線を維持することができます。
2. 光ネットワークにおける遅延の可視化と制御
光ネットワークの拠点間の遅延時間を測定しログとして出力します。これにより、その測定結果に基づき、1マイクロ秒単位でパスの遅延時間を制御することができます。
3. 光信号を送受信する既存のトランスポンダ(注7)へ追加が可能
ネットワーク機器のオープン化を前提にした1RU(注8)の筐体サイズで、既存の光ネットワーク構成に対して無瞬断切り替え機能を容易に追加できるディスアグリゲーション型に対応しています。既存の伝送装置にダイレクトで接続が可能なOTU4インターフェース(注9)を有し、光信号を送受信する利用中のトランスポンダのクライアントに接続することで、既存ネットワークを高信頼性ネットワークにアップグレードできます。
今後について
当社は、災害時のデータセンターや通信局舎の冗長回線への対応、また遠隔医療やリモートコンストラクションをはじめとする遠隔制御などの高信頼性サービスをより安全につなぐレジリエントな光ネットワークインフラを構築し、これらの分野におけるサービスの信頼性と品質の向上を目指します。
URL https://pr.fujitsu.com/jp/news/2024/05/28.html