東京, 2022年4月26日 - (JCN Newswire) - グローバル・コンサルティング・ファームのアリックスパートナーズは、最新テクノロジーの普及が「日本人の時間とお金の使い方」にどのような影響を与えるかを分析したレポート(以下、本レポート)を発表しました。今回の調査で、最新テクノロジーの活用で効率化や自動化が進み、2030年には消費者の可処分時間が最大で年間1人当り405時間増加することがわかりました。増加時間は休養・自己啓発・趣味などに充てると予想され、企業は新たなビジネスにつなげることができるとみています。
消費者の時間は、第1次活動(睡眠・食事など)、第2次活動(仕事・学業・家事など)、第3次活動(休養・自己啓発・趣味など)に分類されますが、本レポートでは、第3次活動にあたる時間を可処分時間とし、テクノロジーの進化と活用で増加傾向を辿ると予想しています。
どのようなテクノロジーが消費者の時間や支出の削減に貢献するかを、総務省統計局の調査および各種データをもとにアリックスパートナーズが算出したところ、以下の5つが明らかになりました。
①仕事の効率化:RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)やAIの普及で一部業務が自動化され、仕事時間が削減される。
②移動 – 移動時間の有効活用・移動の安全性の向上・移動自体の削減:自動運転が普及することで、運転時に仕事や読書など別のことに時間を使うことが可能となり、実質的な移動時間が削減される。事故の発生も抑制され、保険料が下がる。ARやVRの普及でオンラインでの購買や業務が増加し、移動時間や関連費用が削減される。
③病気の予防:ヘルステック(ウェアラブル端末の行動記録や遺伝子検査キットなど)の普及で疾病確率・通院回数が減り、通院時間、医療保険料、医療費の削減につながる。
④家事の効率化:家事自動化ロボット(自動掃除機・自動洗濯乾燥機・食洗器など)の普及で一部の家事を機械に任せることが可能となり、家事時間が削減される。
⑤無駄な出費の抑制:キャッシュレス決済が普及することで、現金の使用頻度が減り、ATM利用手数料の削減につながる。
最新テクノロジーが過去と同じスピードで普及すれば、1,000万円以上の世帯年収を持つ消費者においては、テクノロジーの普及率は自動運転を除き2030年時点で5割を超えると予想されます。特に、①仕事の効率化と④家事の効率化に関連するテクノロジーは、同消費者においてそれぞれ98%と95%まで普及すると見込まれています。*1
*1 総務省統計局「通信利用動向調査」および各種データをもとにアリックスパートナーズ算出
可処分時間への影響については、テクノロジー普及による自動化や効率化に伴い、最大で年間1人当たり405時間、全人口では年間492億時間の可処分時間が新たに生まれる見込みです。この中でも、①仕事の効率化と④家事の効率化による可処分時間の創出が大きく、①は年間1人当たり128時間、④は年間1人当たり221時間と考えられます。*2
*2 総務省統計局「平成28年社会生活基本調査」にもとにアリックスパートナーズ算出
次に可処分所得への影響について年収別でみた場合、特に年収600-900万円の消費者は1人当たり最大で年間6.5万円、年収1,000万円以上の消費者は1人当たり最大で年間10.7万円が削減されると考えられます。この中では、②移動 – 移動の安全性の向上・移動自体の削減と③病気の予防による消費支出の削減が大きく、年収600-999万円と年収1,000万円以上の消費者においては、②はそれぞれ年間1人当たり4.0万円と6.5万円、③はそれぞれ年間1人当たり2.6万円と4.2万円、合計でそれぞれ年間1人当たり6.5 万円と10.7万円の可処分所得を生み出す見込みです。*3
*3 総務省統計局「2019年全国家計構造調査」をもとにアリックスパートナーズ算出
アリックスパートナーズ東京オフィスで消費財・小売を担当するコンサルタントの福井純矢は次のように述べています。「新たに生まれた可処分時間や可処分所得は、人と過ごす時間、自分の趣味や自己啓発に充てる時間、エンタメやパーソナルケアなど自己回復に充てる時間に回されるとみています。また、最新テクノロジーの普及は、オフィス関連費用の削減、単位時間に診療できる患者数の増加、単純業務に従事する従業員の人件費の抑制、プロモーションの精緻化などを推進し、企業では売上向上やコスト削減が実現し、ひいては消費者還元につなげることも可能となります。したがって、市場縮小が叫ばれている消費者関連業界にあっても、新たなビジネス創出につなげることは十分可能であると考えています。」
アリックスパートナーズについて
1981年設立。ニューヨークに本社を構える結果重視型のグローバルコンサルティング会社。企業再生案件や緊急性が高く複雑な課題の解決支援を強みとしている。民間企業に加え、法律事務所、投資銀行、プライベートエクイティなど多岐にわたるクライアントを持つ。世界20都市に事務所を展開。日本オフィスの設立は2005年。日本語ウェブサイトは https://www.alixpartners.com/jp/