2018年04月12日 18時00分

Source: IFAC

グローバルに分岐化する金融規制、経済への影響7,800億米ドル

東京, 2018年04月12日 - (JCN Newswire) - 【ニューヨーク/パリ】国際会計士連盟(IFAC:International Federation of Accountants)、及び経済開発協力機構・経済産業諮問委員会(OECD・BIAC)は4月11日、グローバルな金融規制の分岐化が年間7,800億米ドルの追加費用を発生させているとの調査結果を発表しました。

この度、発表された調査報告書『金融規制の分岐化によるコスト、リスク及び影響:国際金融分野調査(Regulatory Divergence: Costs, Risks, Impacts: An International Financial Sector Study*)』は、250超の世界の主要金融機関の規制・コンプライアンス担当者を対象に行った、規制の分岐による費用に関する調査結果を取りまとめています。その中で、金融規制が国や地域によって多様に異なることで、実質的な経済コスト、金融システム・リスク及び経済発展への障害面で、大規模な影響がもたらされていることが数値で示されています。

金融規制が国や地域ごとに異なり、一貫性がないこと、つまり金融規制の分岐化により、金融機関は年間売上高の5%から10%のコストを負担しています。回答者の半数以上(51%)が、リスク管理等にかけるべきリソースが、国や地域によって様々に異なる規制への対応に費やされていると回答しています。

例えば、年間売上高が1億ドルに満たない小規模な金融機関においては、大規模な金融機関に比べて2倍の実質的費用が費やされている可能性があり、この点を鑑みると、7,800億ドルという数値は、調査結果から保守的に推計された数値であるとも言えます。

IFACのCEO、ファイズル・チャウドリ(Fayezul Choudhury)は、「前回の金融危機以降に導入された改革により(規制の)分岐化がもたらされ、次に起こりうる危機のリスクを段階的に縮小するために使われるべき貴重な資源を消費してしまっているとの明確な証拠が示された」と述べています。また、「特に中小規模の金融機関において、競争上の不利益になっているという事実は、政策担当者が目を覚ますきっかけになるはず」と指摘しています。

金融規制の分岐化による費用は、資本市場関係者において最も強く認識されており、92%の関係者が大きな、又は非常に大きな費用を発生させていると回答し、続いて銀行セクターでは76%、専門職サービスセクターでは66%が同様の回答をしています。

一方、BIAC事務局長のバーナード・ウェルシュケ(Bernhard Welschke )は、「貿易や投資への非関税障壁が国際的なビジネスの拡大を妨げ、仕事や富の創出を阻害している点を踏まえれば、規制の分岐化が成長に与える影響は極めて悩ましい」と述べています。

最後に、OECDのパブリックガバナンス担当ディレクター、マルコス・ボンチュリ(Marcos Bonturi)は、「本調査は、ビジネスにとって追加的なコスト要因となる規制の分岐状態を軽減するため、国際協力の更なる必要性を強調している。この分野におけるOECDの先駆的な取組みは、公共政策の目的を達成し、ビジネス及び市民にとって不必要な費用を減らすため、金融規制分野における国境を越えた国家間の協力を向上させる後押しになる」と述べています。

BIAC と IFACは、規制における全体的な整合性の向上、規制の分岐化による弊害を修復するための国際的なルール設定における透明性の担保を含め、規制当局間の更なる国際協力の推進を提言しています。

* http://www.ifac.org/divergent-financial-regulation-780-bn-tax-global-economy

本件に関する連絡先:
Geena De Rose
IFAC Communications
+1-646-227-9390
geenaderose@ifac.org

今井功
エデルマン・ジャパン(IFAC広報代理)
Tel: 03-4360-9007
isao.imai@edelman.com

国際会計士連盟(IFAC)とは
IFACは、職業専門家の能力強化と強固な国際経済の発展に貢献することを通じて公共の利益に資するために設立された会計職業専門家の国際的組織である。IFACは、130以上の国・地域の175の正加盟団体・準加盟団体から構成されており、会計・監査事務所業務、教育分野、政府機関、民間部門及びビジネス分野で働く300万人の会計職業専門家を代表している。

経済開発協力機構・経済産業諮問委員会(OECD・BIAC)とは
BIAC はOECDにおいてビジネスを特に取り扱う委員会である。1962年に設立されたのち、あらゆる規模のビジネスの成長、経済発展と繁栄を実現するための政策を提言している。BIACを通じて、各国のビジネス及び雇用主連合及びその会員はOECD及び政府に対して専門的知見を提供し、競争経済、より良いビジネス、及び生活向上に貢献している。

Source: IFAC
セクター: 金融, ビジネス

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