2017年11月01日 11時00分

Source: Hitachi, Ltd.

日立、AIの活用により、X線手荷物検査において安全性を自動識別する技術を開発
確実に安全な手荷物を目視検査不要とすることで、検査可能な手荷物の数が約40%増加

東京, 2017年11月01日 - (JCN Newswire) - 株式会社日立製作所(執行役社長兼CEO:東原 敏昭/以下、日立)は、X線を用いた手荷物検査において、AIを活用することで手荷物内の物品一つひとつを認識し、材質、密度などから安全性を自動識別する技術を開発しました。

本技術では、一見安全な物品でも、材質や密度が通常と異なり、改造や細工が疑われる場合は、目視検査を提案します。検査員は、安全な物品の検査に時間を取られず、AIから提案された危険性が疑われる物品の検査に集中できるため、効率的かつ確実な手荷物検査が可能となり、検査の待ち時間を短縮できます。今回、本技術を適用したX線手荷物検査システムを試作し、社内実験を行った結果、全ての手荷物を目視検査する場合と比べて、検査員が同じ時間内に検査可能な手荷物の数が約40%増加したことを確認しました。今後、日立は、安心・安全な社会の実現に向けて、本技術を活用したX線手荷物検査システムの2018年度中の実用化をめざします。

現在、空港をはじめとして、高いセキュリティが必要な一部の駅、公共施設、イベント会場などでは、ナイフや爆発物などの危険物の素材である金属、有機物を識別可能なX線検査装置を用いた手荷物検査が行われています。従来は、検査を支援するために、危険物の形状を識別して検査員に警告する機能などが活用されていましたが、見落としを防ぐため、危険物が含まれない荷物も含めて全ての手荷物を目視検査する必要がありました。

そこで今回、日立は、危険物の見落としを防ぎながら検査の効率化を図るため、AIを活用して手荷物内の一つひとつの物品を認識した上で、安全性を識別する技術を開発しました。本技術の特長は以下の通りです。

1. 複数の物品が接していても別々に認識可能な、物品領域抽出技術
本技術では、まず、X線の透過量から物品の単位面積あたりの質量を推定することで、X線撮影画像から物品が存在する領域を画素単位で網羅的に特定します。次に、深層学習(ディープラーニング)*を活用して物品らしい形状を抽出することで、複数の物品が接していても別々に認識することが可能です。物品らしい形状が存在する領域と、はじめに特定した、物品の存在する領域との間に差異がないかを検証することで、物品の認識漏れも防ぎます。

2. 安全性判定の誤認を防ぐ、2段階の安全性識別技術
危険物を誤って安全と判定しないために、「ディープラーニングを用いた、安全な物品の識別」と、「物品の標準的な特徴を用いた、識別結果の信頼性検証」の2段階の安全性識別技術を開発しました。あらかじめ安全な物品をディープラーニングを用いて学習しておくことで、まず、抽出した画像が安全な物品か否かと、その種類を識別します。次に、識別した物品のX線画像から得られた材質、密度、大きさなどの特徴を、あらかじめ準備しておいた同じ種類の物品の標準的なデータと比較することにより、識別結果の信頼性を検証します。本技術により、確実に安全な物品のみを安全であると識別することができます。

今回、本技術を適用したX線手荷物検査システムを試作し、スポーツ・音楽イベントを想定した、延べ60人の来場者に対する手荷物検査の実験を行った結果、全ての手荷物を目視検査する従来の方式に比べて、検査員が同じ時間内に検査可能な手荷物の数が約40%増加したことを確認しました。

今後、日立は、本技術を空港、駅、公共施設、イベント会場などに活用していくことで、社会の安心・安全に貢献します。なお本技術は、11月1日(水)、2日(木)に東京国際フォーラムで開催される「Hitachi Social Innovation Forum 2017 TOKYO」のセキュリティ展示「コストから投資へ!フィジカルセキュリティの強化とビジネス応用」ブースにて展示予定です。

本リリースの詳細は下記をご参照ください。
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2017/11/1101.html

概要:日立製作所

詳細は www.hitachi.co.jp をご参照ください。

Source: Hitachi, Ltd.
セクター: エレクトロニクス, IT

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