2016年10月24日 12時20分

Source: NEC Corporation

NEC、数万人規模の混雑度と人の流れをリアルタイムかつ高精度に予測する技術を開発
群衆行動解析技術を強化

東京, 2016年10月24日 - (JCN Newswire) - NECは、当社の最先端AI技術群「NEC the WISE」(注1)の「群衆行動解析技術(注2)」を強化し、防犯カメラを活用して、大規模な群衆の混雑度と流れをリアルタイムかつ高精度に推定・予測する技術を開発・追加しました。

今回開発した技術は、防犯カメラの映像解析により、大型施設やイベント会場における数万人規模の混雑環境下(注3)で群衆の混雑度と流れを定量的に把握し正確にデータ化します。さらに、追従や衝突回避など混雑環境での人特有の挙動を再現可能なNEC独自の群衆モデルを用いて、分析粒度を最適化することで、高精度かつリアルタイムな推定・予測を実現しました。

NECは、本技術を大規模スポーツイベント(注4)で実証し、リアルタイムな群衆誘導に必要な10分先の混雑状況を、20%以内の誤差で予測できることを確認しました。

本技術の活用により、大型施設や各種イベント会場などでの警備において、事故や犯罪を誘発する危険な混雑状態の発生を予測することで、混雑を防止する誘導プランをリアルタイムに提示することが可能となります。

NECは社会ソリューション事業に注力し、中核領域であるセーフティ事業およびビッグデータ事業を強化しています。今後もこれらの分析技術やソリューションを強化し、お客様の新たなビジネス創出や企業価値向上に貢献します。

背景

多くの人が集まる大型施設や各種イベント会場の警備においては、現状でも、危険な混雑を防ぐため、綿密な警備計画に基づく群衆の誘導が行われていますが、人手による現場全体のリアルタイムな状況把握と適切な誘導には限界がありました。

NECは、防犯カメラの映像から、非常に混雑した環境(注3)でも混雑度を高精度に可視化できる独自の「群衆行動解析技術」を有しており、街の安心安全対策に活用されてきました(注5)。

今回、この「群衆行動解析技術」を強化し、新たに、大規模な人の流れをリアルタイムかつ高精度に推定・予測する技術(混雑予測技術)を開発・追加しました。

新技術の特長

1.防犯カメラの映像解析で、混雑環境でも群衆の混雑度と流れを定量把握
今回、これまでに有していた防犯カメラの映像から群衆の混雑度を高精度に可視化する技術と、映像から動きを抽出する技術を組み合わせることにより、数百人が往来する路上のある地点での、人の密度と個々の向き情報を算出し、方向別に進む人数を定量的に把握できる「群衆流量推定」を開発しました。重なり合う人の塊を選択的に検出した上で、それらの動きを統合して分析することで、カメラ画角内の群衆の混雑度と流れの分布を高精度に推定可能です。
これにより、人が重なって見える非常に混雑した環境でも、滞在人数や方向別の通過人数を定量的に把握できます。

2.複数の地点で得た群衆の混雑度と流れの情報に基づき、数分から数十分後の混雑状況を予測
各地点の群衆の混雑度や流れの情報を、人の移動を模倣するプログラム(エージェント)の集合で表して分析することで、大規模な人の流れをリアルタイムかつ正確に推定・予測できる「リアルタイム人流予測」を開発しました。
このようなエージェントを用いた従来の推定・予測では、混雑環境での人の流れを正確に再現することが難しく、人の流れの高精度な予測は困難でした。今回、NECは混雑環境での人特有の挙動を表現する「群衆モデル」を開発し、エージェントひとつひとつについて、周辺の人への追従、衝突回避、空いているスペースへのすり抜けなどの動きを精密に表現することで、より実際に近い混雑状況を再現できます。
一方で、エージェントの動きを精密に表現すると計算量は増大しますが、今回、エージェント間の関係に着目し、密度や相対的な動きに基づいて、計算対象を人流に強く影響を与えるエージェントのみに絞ることで、全体の計算量を大幅に削減しました。

これら高度な映像解析技術に基づく実データの正確な把握、混雑環境における人の流れの正確な模倣と計算量の削減により、数万人規模の人の流れのリアルタイムかつ高精度な推定・予測を実現します。

なお、NECは本技術を、NECグループが開催する「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2016」(会期:11/1(火)~2(水)、会場:東京国際フォーラム(東京都千代田区))にて、展示します。
「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2016」について
https://uf-iexpo.nec/

また、12月8日(木)から9日(金)まで、パシフィコ横浜(横浜市西区)にて開催される「ViEW2016:ビジョン技術の実利用ワークショップ」(注6)において発表する予定です。

NECグループは、安全・安心・効率・公平という社会価値を創造する「社会ソリューション事業」をグローバルに推進しています。当社は、先進のICTや知見を融合し、人々がより明るく豊かに生きる、効率的で洗練された社会を実現していきます。

本リリースの詳細は下記URLをご参照ください。
http://jpn.nec.com/press/201610/20161024_05.html

(注1)
「NEC the WISE」(エヌイーシー ザ ワイズ)は、NECの最先端AI技術群の名称です。"The WISE"には「賢者たち」という意味があり、複雑化・高度化する社会課題に対し、人とAIが協調しながら高度な叡智で解決していくという想いを込めています。
- プレスリリース NEC、AI(人工知能)技術ブランド「NEC the WISE」を策定
http://jpn.nec.com/press/201607/20160719_01.html
- NECのAI研究
http://jpn.nec.com/rd/crl/ai/
(注2) 群衆行動解析技術:NEC独自技術。ディープラーニング技術を用いて数百万枚の群衆画像と人数を事前に学習させ、実際の映像から切り出した人の“塊”の画像と付き合わせることで、映像内の混雑度合や人数を高精度に推定する技術。
2013年11月7日プレスリリース NEC、世界初、群衆全体の動きの変化から混雑環境での異変を検知する「群衆行動解析技術」を開発
http://jpn.nec.com/press/201311/20131107_02.html
(注3) 混雑環境:人の密度について、歩行空間においては、人が普通に歩行できる限界密度とされている2人/m2、滞留空間においては、人が安全に滞留していられる限界密度とされている4人/m2を超える環境。
(注4) 大規模イベント:スタジアムで開催された観客数数万人規模のスポーツの試合。
(注5) 2015年3月10日プレスリリース NEC、豊島区で、世界初の「群衆行動解析技術」を用いた総合防災システムを構築
http://jpn.nec.com/press/201503/20150310_01.html
(注6) ViEW2016: http://www.tc-iaip.org/view2016/

概要:日本電気株式会社(NEC)

詳細は www.nec.co.jp をご覧ください。

本件に関するお客様からのお問い合わせ先
NEC 研究企画部 研究プロモーショングループ
お問い合わせ
https://contact.nec.com/http-jpn.nec.com_tb_142rd_4b126d/?fid=4b126d

Source: NEC Corporation
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